その人の気配や空気を感じる必要があって、
細川家の宝物館、目白の永青文庫に、
悪魔の様な花粉にまみれながら向かった。
昼間で静かな和敬塾の前を通りかかると、
大好きな小説の中の寮を思い出し、
たぶん、その寮のモデルで嬉しいのです。
温かな春の空気の中から
重いドアの向こうは、
のしかかってくるように冷んやりして、
旧い家の、湿気を帯びた埃の匂いが良いな。
そしてそこは博物館であっても、
まぎれもなく細川さんの家で、
薄暗い廊下や,階段や、天井の隅々にまで、
亡くなったお爺さんの時間込められていました。
大切にしていてくれて、ありがとう。
宮本武蔵の持つ筆は迷いがないけど包まれるかんじ、
五輪の書ですら何故か優しいし。
…正面向いた達磨は、私をクスクスさせてしまう。
不動明王は作武蔵伝ではあるけど、
武蔵が彫刻した、遠い時間が流れてる様な気がする。
強さは、正しくあるって、
広い居間の、静かに木漏れ日が揺れる、
豪華で趣味の良いソファに沈んで思った。
くぐるべき石の丸い門をくぐって、
清い気持ちで、細川家の広い庭をブラブラしたら、
花粉がいっぱい入って来て…負けた。
目から涙を流しながらも感激してる私を見て、
同行してくれたケイチャンが、
見上げた根性だと椿山荘で、御茶の時間を贈ってくれた。
今も、悪魔の様な花粉に立ち向かっています。
もう負けてないけどね。